裏側で満たす

【Emotions 2024】紆余曲折を味わった私たちだから、描ける絵がある。朝際イコ × 色田の「人生、双六旅!」

2024.09.17
  • オバラ ミツフミ

  • オバラ ミツフミ

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目次
INFORMATION
イラストレーター
朝際イコ×色田
〈朝際イコ〉2021年より本格的にイラストレーターとして活動を開始 「大正80年生まれ」の「ネオ大正浪漫」を自称 女給、メイド、日本刀、伝統玩具など戦前戦後問わず日本的なモチーフをビビッドな色合いで表現する 表現はイラストに限らず音楽、アニメ、漫画、着物を中心としたファッションなど多岐に渡る 自身の描く世界を現実世界に再現する活動もしている 〈色田〉色と人物の表情で魅せる、福井県在住のイラストレーター。
グラフィックデザインやファッション分野で学んだ経験を生かして、楽曲MVへのイラスト提供やオリジナルアパレルグッズの販売をメインに活動中。
【最新実績】shallm様1st LIVE 衣装デザイン原案・グッズ用イラスト担当。

朝際イコ × 色田「人生って旅みたいだ!」

200名を超えるクリエイターが池袋PARCOをジャックする人気企画「Emotions」が、今年も帰ってきます。


2022年の第1回以来、今年で3度目の開催です。年々パワーアップしている「Emotions」ですが、2024年も進化が止まりません。新企画として、コラボイラストの展示を行います。


参加するクリエイターは、「色田 × 朝際イコ」「REO × つもい」「けけ × Gurin.」の6名3組。異なる作品テイスト、異なるバックグラウンドを持つメンバーがコラボして、それぞれ「Emotional」をテーマにイラストを描き上げます。


コラボイラストが展示されるというだけでテンションが高まってしまいますが、『でみたす!』編集部としては、「Emotions」をもっともっと楽しんで欲しい……。


その願いから、参加クリエイターのみなさんにお願いして、コラボイラストが完成するまでの過程を見せていただくことに成功しました👏


完成したイラストを見ることはあっても、制作過程を知る機会はそう多くありません。


クリエイターたちは普段、どのような思考回路で、どんな想いを込めてイラストを描いているのか。異なるテイストを持つクリエイターとのコラボでは、どんな会話を交わし、どうやってバランスを合わせるのか。


創作を愛するみなさんに、作品の制作過程と、今回の出展作に込めた想いをお届けします。

人生の紆余曲折を描き出す“旅”テーマのコラボイラスト

本記事で取材する色田さんと朝際さんは、『でみたす!』でもインタビューをさせていただいた、お馴染みのクリエイターさんです。これまでに開催した「Emotions183」「Emotions2023」にも作品を出展していただいたので、ご存知の方も少なくないでしょう。

 

第三弾となる今年の「Emotions2024」は、お二人にコラボイラストを制作していただいています。いったい、どのような作品が完成したのでしょうか…?

 

まずは、おふたりに、コラボイラスト企画への参加が決まったときの、率直な想いを聞いてみましょう。

 

色田:最初にコラボイラストのご提案をいただいたときの感想は「えっ、めちゃめちゃおもしろそう!!」でした。イコさんはもともと存じ上げていて、作品も大好きだったので、「ぜひやってみたい!」と即決でしたね。

 

朝際:私は色田ちゃんからお誘いのLINEをいただいたのですが、同じく「是非!」と即決でした。私も色田ちゃんの作品が大好きなので、特に何も心配もなく、前のめりでしたね。

 

ひとりで作品をつくるのと、ふたりで作品をつくるのとでは、きっと制作過程が異なるはずです。どのような点に注意をしながら、コンセプトを固められたのでしょうか。

 

朝際:コンセプトに関しては、根幹になるアイディアさえ固まれば、色田ちゃんとなら問題なく制作を進められるだろうという謎の自信がありました(笑)。

 

色田:私もです(笑)。ひとりのクリエイターとして“絶大な信頼”を置いているイコさんとなら、とくに問題も発生しないだろうと思えていましたね。

 

ただ、せっかくの合作なので、「自分の独りよがりではいけない、けれど何より遠慮し合ってはいけない」ということは念頭に置いていました。

 

私もきちんと自分の意見を出し、もちろんイコさんの意見も聞いて、いいアイデアをピックアップしたり、混ぜ合わせたりしながら、ふたり分の味がきちんと感じられる最高の一枚をつくりたいなぁ…って。

 

朝際:振り返ってみると、コンセプトを固めていく段階から、ふたりの意見をうまく掛け合わせられていたのかなと思います。

 

コンセプトの原案を出したのは、私です。私はバンド活動をしていて、イラストレーターとして独立するまでに紆余曲折がありました。

 

色田ちゃんも、かつてはグラフィックデザイナーとして働いていたり、メガネ屋さんで働いていたりと、同じく紆余曲折を経てイラストレーターになったひとりです。

 

ふたりのバックグラウンドを重ね合わせると、お互いにいろんな道を歩いてきたので、なんだか旅のような人生を歩んできた気がして。

 

そこで、「旅をテーマにイラストを制作してみませんか」と打診しました。

 

色田:アイデアを聞いて、「いい!」と直感しました。イコさんはよく旅行にいかれているとおっしゃっていたので、イコさんらしさが出るような気もして。

 

朝際:とんとん拍子でコンセプトが固まると、色田ちゃんがアイデアをより具体的にしてくれたり、イラストに添える小物のデザインを考えてくれたり、スパイスを加えてくれました。

コンセプトが「旅」に決まり、小さなアイデを詰め込んでいく様子

 

どちらも大味ざっくりなタイプだったら、こんなに工夫した画面づくりはできなかったと思います。そういう意味でも、色田ちゃんはコラボ相手として“相性ぴったり”だったと思います。

まるで交換日記のような制作プロセス

制作過程も気になるところ。おふたりらしさを生かしながら、ふたりだからこその作品をつくるために、どのような工夫をされていたのでしょうか…?

 

朝際:色の塗り方は、かなり慎重に調整をしました。私は線画をしっかり描いてベタ塗りを多用する「アニメ塗り」に近いタイプですが、色田ちゃんは「厚塗り」に近いタイプです。

 

「タッチの違い」はコラボイラストならではのものとして認識していただけると思っていましたが、色の塗り方はどちらかが浮いてしまう可能性があります。

 

そこで、個人的にはいつも使わない色を主線に使用することもしました。色田ちゃんが主線に使っていた色を流用したのですが、それだけで画面の調和は取りやすくなったので、色田ちゃんの色使いとのバランスを意識しながら、自分らしさも出せたのかなと思います。

 

色田:それぞれの違いを乗り越えて、いい作品を描き出すことに尽力してくれたイコさんにとても感謝しています。

 

私としても、せっかくのコラボなので、イコさんらしいレトロなモチーフや色合いを使いました。イコさんはイラスト制作のほかに漫画の連載もされているので、普段とは違って漫画っぽさも取り入れています。

 

今回の作品は、私のイコさんに対するリスペクトが詰まった一枚でもあるんです!

漫画のコマを取り入れ、お互いの個性が見えるイラストに

 

朝際:色田ちゃんから「イコさんっぽさを取り入れたい!」と漫画のコマ風のデザインを提案してもらえたの、とても嬉しかったです。

 

また、私は普段デフォルメイラストを描かないので、「一緒に描きませんか?」とも言ってくれました。新しい一面を引き出してもらいましたね。

 

私は色田ちゃんの小物系へのこだわりを理解しているつもりだったので、「トランクにステッカーとかたくさん描いてほしい!!」といった簡単なリクエストしかできませんでしたが、「お互いの持ち味を引き出し合う」ということができたのかなと思います。

細やかなこだわりが散りばめられ、完成に近づいていく…!

 

色田:まるで交換日記のようにファイルのやり取りをしていたの、楽しかったですね。

 

朝際:言葉のやり取りがないときでも、キュンとするファイルが届いていて萌えました!

 

私の仕事の都合もあり、色田ちゃんに頼ってしまうことが少なくなかったのですが、ファイルを開くたびに想像を超える感動があって……。ファイルを開ける瞬間は、手紙を開ける瞬間のどきどきに近い感覚でした!

 

そのたびに「こなったら“色田という波”に乗ろう!」という気持ちで(笑)。ふたりだからこそのイラストを、ふたりだからこそのプロセスでつくれたのかなと思います。

PARCOで感じ取る、クリエイターの息吹

ふたりがイラストレータになるまでの道のりを「旅」にたとえ、ふたりでつくり込んでいった唯一無二の一枚。

 

LINEグループでファイルがやり取りされ、イラストが完成に近づいていく過程は、編集部のスタッフが見ていて心躍るものでした。

 

書き味が異なるイラストを制作されているおふたりは、今回のコラボを通じて、どのようなことを考えているのでしょうか。

 

朝際:大好きなクリエイターである色田ちゃんとコラボできたことは、私の財産になりました。普段と一味違うテイストにも挑戦できましたし、色田ちゃんの世界と私の世界を重ね合わせたことで、素敵な作品に仕上がったと思います。

 

色田:ふたりのバックグラウンドから「旅」というコンセプトにしましたが、こうしてイコさんとコラボできたことも、人生という旅の一幕だったんだと思います。イコさんの作風を取り入れ、私も表現の幅が広がりました。最初から最後まで、本当に楽しかったです!

 

おふたりの旅路にご一緒させていただけて、編集部・オバラは感涙です(号泣)…!!

 

さて、Emotions2024は目と鼻の先に迫っています。来場される方に、ぜひメッセージをお願いします!

 

色田:「Emotions」は、リアルな空間で大きなサイズのイラスト作品を楽しむことができる貴重な機会です。細かなところまで小ネタや描き込みがされているので、ぜひ間近でじっくりご覧になっていただきたいです。普段は目にすることが難しい細かな線一本一本や塗りの跡などから、私たちクリエイターの息吹を感じ取ってください!

 

朝際:昨今AIイラストが話題ですが、イラストには作品を描いたイラストレーターの人生が反映されるからこそ伝わるものがあり、愛されるものになるのだと確信しています。

 

私と色田ちゃんは年齢も近く、それぞれ社会人としてやイラストとは別の活動をして、紆余曲折あって今がある同士です。

 

イラストレーターをやっていなければ出会うことがなかった、似た境遇のあるふたりが、PARCOさんに飾るためのイラストを一緒につくるだなんて、とても夢が詰まっているなって。

 

そこには、AIにはないストーリーが間違いなくあります。みなさんには、今回の記事も含めて作品の奥行を感じて楽しんで貰えたら幸いです。

 

私たちの作品からいろいろなことを感じ取ってくださり、みなさんがそれぞれの“人生という旅”を楽しめますように!

 

色田:ここだけの話ですが、作品は展示フロアともリンクしています。

 

人生を旅になぞらえた、私たちふたりらしいすごろくマスにも注目してもらえると嬉しいです。

 

ぜひ現地で、私たちにしかつくれないカラフルな自信作から、私たちの色を存分に浴びてください!SNSにて感想もお待ちしてます〜!

 

朝際さんと色田さんという、『でみたす!』編集部イチオシのクリエイターのコラボが見られるのは「Emotions2024」だけ。ぜひ足を運んでいただき、ご自身の目で見て、この感動を分かち合いましょう!

 

※ 朝際さんと色田さんから「たくさん写真を撮ってね!」とメッセージをいただきました。感想を添えて、たくさんシェアしてください!

オバラ ミツフミ

『でみたす!』副編集長。大学在学中にフリーライターとして独立し、コンテンツの企画・製作やメディア組織の立ち上げを手がける。編集協力に『転職と副業のかけ算』『Work in Tech!』など5冊。個人のミッションは「人と世界を動かすテキストで、明日の景色を変える」。

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