クリエイティブスタジオ・R11Rと、海外ブランドの卸売りから小売り事業まで、幅広い事業を展開する専門商社・ウエニ貿易が共同開催するシリーズ型プロジェクト「RE:SPECTACLES(リスペクタクルズ)」の第一弾、「NEO:SAKE」が日本三大都市の大丸で開催されました。 “若者の日本酒消費を取り戻す”べく始まった本企画は、展示もプロダクトも実にユニーク。アートと伝統工芸品の科学反応は、若者に留まらず、日本酒愛好家や海外旅行客まで、様々な人々に驚きを与えました。 今回は、東京展示に『でみたす!』編集部が突撃!ポップアップの内容はもちろん、今回のプロジェクト発足の経緯までも徹底解説いたします。 日本酒は終わらない。NEO:SAKEの世界観をみなさんにもお届け。 |
発足のきっかけは「縁」
「RE:SPECTACLE」シリーズは、クリエイティブスタジオR11Rと、輸入卸業界NO.1で知られる専門商社ウエニ貿易が手を組み展開する、斬新なコラボレーションプロジェクトです。
第一弾となる「NEO:SAKE」は、若者の日本酒離れが深刻な「日本酒」が題材。R11Rが誇るクリエイター陣と、ウエニ貿易が培ってきた販売ノウハウを活かし、再び若者に手にとってもらえる日本酒づくりが始動しました。
ただ、肝心の日本酒選定に頭を悩ませていました。全国には数多くの酒蔵がありますが、今まで日本酒に携わったことのない会社の依頼ともあって、協力していただける酒蔵を見つけるのはなかなか容易ではなかったのです。
転機となったのは、本プロジェクトグッズの印刷を担当していただいたICHINOSAIさんの存在でした。
なんと、ICHINOSAI担当者が新卒1年目のころ、交流会で意気投合した方が、たまたま「山本酒造店」オーナーだったのです。不思議なご縁がつながり、山本酒造店さんと「NEO:SAKE」プロジェクトはスタートしました。
初めてづくしの「NEO:SAKE」制作秘話
「まったく新しい日本酒体験」を謳うのですから、従来の日本酒を使用しては面白みに欠けます。そこで、山本酒造店さんに、「NEO:SAKE」完全オリジナルフレーバーを制作していただきました。
プロの手腕によって、軽くてフルーティーな味わいを持ちつつ、従来の日本酒とは少し違った仕上がりに。ワインのような舌触りすら感じる、「NEO:SAKE」の名にふさわしい新しい日本酒が誕生しました。
「NEO:SAKE」を彩るパッケージデザインには、R11Rが厳選したクリエイターの描き下ろしイラストを使用。人気グラフィックデザイナーはくいきしろいさんのペイントがさらに魅力を引き立たせています。
イメージビジュアルを手がけたのは「edenworks」篠崎恵美氏。飲み終わった後も花瓶やハーバリウムとしてリユースできる、“一度で二度美味しい”日本酒なのだそうです。
実際に東京展示に訪れた編集部・鈴木も作品の美しさにうっとり。主役である酒やアートはもちろんのこと、アパレルやグッズにもホログラム加工が美しく施されています。細部に至るまでコンセプトを徹底する「NEO:SAKE」節を感じることができました。
3都市だから感じたそれぞれの「NEO:SAKE」
また、今回共同開催となったウエニ貿易スタッフの方にも、実際に現地でポップアップを眺めながらお話を伺うことができました。
──── 今回、R11Rと共同開催というかたちになりましたが、どのような経緯で「NEO:SAKE」プロジェクトが発足したのでしょうか。
R11Rさんとは以前からイラスト関連の仕事でご一緒したことがありました。今回のプロジェクトも、R11Rさんからのご提案と、山本酒造店さんをはじめとしたたくさんの方のご縁がつながって実現したプロジェクトです。
初めてお話をいただいてから一年以上携わってきたプロジェクトなので、こうして現場に立つことができて感無量です。
──── 実際に訪れてみて、その美しさに圧倒されました……!実際にウエニ貿易さんはどんな分野を担当されたのですか?
「NEO:SAKE」では、ウエニ貿易は主に内装や接客を担当しています。シンプルかつ高級感のある内装は、お客様に好評でとても嬉しかったですね。
大阪・名古屋・東京3箇所の現場に立ってみて思ったのは、地域によって客層がまったく違っていたこと。大阪はイラストレーターを応援するために訪れる方が多く、名古屋はふらりと立ち寄る日本酒好きがいらっしゃる印象で、東京はちょうどその中間のような客層でした。場所でここまで人が変わったのは、予想外でしたね。
今回は3地域とも一貫したコンセプトの内装にしていたのですが、次回開催は地域ごとにコンセプトを変えて、よりお客様にコミットした設計するのも面白いかなと思いました。
──── 地域の違い、面白いですね!まだまだ工夫のしがいがありそうです。
日本酒×アートのイベントは今までにも前例がなく、全て手探り状態から始まったプロジェクトです。開催前も開催中もドキドキでしたが、日本酒の力、アートの力、それぞれを強く感じた一ヶ月でした。
特に、ライブペイント時にはたくさんのファンの方が訪れ、普段日本酒を飲まない方でも商品を手に取っていただく光景を何度も目にしました。「好き」から新しい「好き」の世界に飛び込むシーンを、これからもどんどん創造していきたいと思います。
また「RE:SPECTACLES」シリーズで、みなさまにお会いできるのを楽しみにしています。
×アートで未来を拓く
そして、作品やグッズの印刷をしていただいたICHINOSAI担当者の方にもお話を伺いました。実は、山本酒造店と「NEO:SAKE」がつながったのは、ICHINOSAIの存在があったからなのだそう。
──── パッケージやグッズのホログラム加工がとっても素敵でした!ICHINOSAIさんが今回「NEO:SAKE」プロジェクトに参加した経緯を教えてください。
実は、当社のスタッフにR11R代表の柿坂さん片口さんと親睦のある方が在籍していました。そんな人のつながりから、「NEO:SAKE」プロジェクトでお声がけいただき、印刷を担当させていただくことになりました。
ただ、その時点ではまだ製造いただく酒蔵が決まっていなくて。そこで、同じ秋田の企業として交流があった山本酒造店にご協力いただけるのではと思いついたんです。
山本酒造店さんもお話を快く引き受けてくださり、現在の座組でプロジェクトをスタートさせることになりました。
──── まさに縁の巡りあわせで実現したプロジェクトなのですね。「NEO:SAKE」グッズの特徴的な印刷はどのようにして誕生したのですか。
参加するメンバーそれぞれが顔見知りのような状態だったので、格式ばったやり取りはせず、全員で商品を囲みながら、和気あいあいとした雰囲気で加工を決めていきましたね。
やはり「NEO」の雰囲気をつくりだしたかったので、近未来感のあるホログラム加工を採用しました。何個か別の案もあったのですが、満場一致でホログラムが採用されましたね(笑)。
通常、ICHINOSAIではデザインから印刷までを一貫して担当しているのですが、今回はR11Rさんがイラストデータの送付から印刷デザインの考案までを担当してくださいました。
そのおかげで、特に大きなトラブルもなく、スムーズに納品できたと思います。
──── 制作の裏側を知ると、さらに商品に愛着が沸いてきますね。今後の「RE:SPECTACLES」シリーズに対する思いを教えてください。
日本の伝統芸能を守るというコンセプトのプロジェクトはなかなかないものですし、今後も継続的に開催してほしいです。
今回は日本酒でしたが、次は秋田の名産である曲げわっぱをアートとコラボさせてもおもしろいのではと思います。日本の伝統と最先端のアートが交わることによって起きる化学反応を、ICHINOSAIとしても追っていきたいと思います。
日本の伝統を守りながらも、新しい可能性を常に模索しつづけたいですね。
日本酒は終わらない
人と人がつながり実現したプロジェクト「RE:SPECTACLES」。今私たちが触れている日本の伝統工芸品も、古来からたくさんの人間が伝統を守り、手法を後世に残したからこそ、現代の姿として残っています。
その姿を、現代の私たちが絶やさないために。×アートのクリエイティブとして、日本の伝統工芸品をリブランディングする姿勢は、これからの伝統工芸品の未来を照らす力になると感じました。
次回の「RE:SPECTACLES」が魅せる新しい伝統工芸品の姿とは──── 。お楽しみに!